【オールスターの話をしよう#2】歴代優勝者と開催地の変遷

1987年からはじまったバサーオールスタークラシック。36回の歴史のなかでさまざまなことが起きた。この連載では歴史や裏話など、オールスターにまつわることをさまざまな角度からお伝えしたい。第2回は「歴代優勝者と開催地の変遷」

text & photographs by Basser

会場の移り変わり

初回は芦ノ湖で開催されたが、2回目以降は河口湖、琵琶湖、八郎潟と変わっていく。 その後1994年から霞ヶ浦・利根川での開催が定着。バスボートでの試合が可能で、なおかつ観客を呼べるキャパシティーをもつ会場として霞ヶ浦は格好のフィールドだったのだ。ちなみに1994年から2010年までは土浦新港が会場となり、2011年から2022年は水の郷さわら、2023年、2024年は霞ヶ浦トーナメントプレイス(大山スロープ)がスタート地点となっている。

V4一番乗りは誰だ

歴代ウイナーに目を向けてみよう。最多勝は5人。故・本山博之、田辺哲男、河辺裕和、赤羽修弥、北大祐が3勝をあげている(赤羽は3連勝!)。

赤羽が3連勝を決めてからのウイナーを見ていると霞ヶ浦・利根川の変化の輪郭がうっすらと見えてくる。2007年に橋本卓哉が優勝し、その後赤羽が3年間無双。この4年間は霞ヶ浦を代表するトーナメント団体のひとつであるW.B.S.の時代だったといえる。橋本はピンスポットの高速ラン&ガンという戦略を見せ、赤羽の3連勝のうち2勝は桜川のオダを徹底的に叩いての結果だった。バスのストック率の高いキースポットがしっかりと残っていたのだ。

2011年からは利根川が会場となり極端な傾向が出た。2011年から2020年までの9大会の勝者は全員がJBTOP50の現役選手。さらにいうと、北、小森嗣彦、青木大介というTOP50の顔役が9大会のうち7勝をさらっている。タイダルリバーである利根川は「変化」が激しいフィールドである。日本全国をトレイルし、3日間の競技を行なっているのは国内ではTOP50のみ。「同じ状況が3日間続くことはまずない」という前提で日々戦っている選手たちが勝ち続けたのは必然かもしれない。

潮目が変わったのは2022年。清水盛三が利根川をクランクで釣り切り初優勝。翌年は伊藤巧が逃げ切り、昨年は琵琶湖プロガイドの諸富真二が十八番のフリップでぶっちぎった。バスの生息密度が高いとはいえない現状のなか、アメリカのツアー選手やビッグレイクのプロガイドが優位に立つのは納得のいく話である。パターンも然り。北大祐が初優勝した2016年以降、クランクやスピナーベイトといったスタンダードなファストムービングが優勝に絡む機会が増えたのは偶然ではないだろう。

回数 開催年 優勝者 競技水域
1 1987 田辺哲男 芦ノ湖
2 1988 沢村幸弘 河口湖
3 1989 佐々木保信 河口湖
4 1990 田辺哲男 (2) 河口湖
5 1991 今江克隆 琵琶湖
6 1992 今江克隆 (2) 琵琶湖
7 1993 藤木 淳 八郎潟
8 1994 本山博之 霞ヶ浦水系
9 1995 河辺裕和 霞ヶ浦水系
10 1996 林 圭一 霞ヶ浦水系
11 1997 田辺哲男 (3) 霞ヶ浦水系
12 1998 吉田幸二 霞ヶ浦水系
13 1999 河辺裕和 (2) 霞ヶ浦水系
14 2000 吉田秀雄 霞ヶ浦水系
15 2001 本山博之 (2) 霞ヶ浦水系
16 2002 本山博之 (3) 霞ヶ浦水系
17 2003 深江真一 霞ヶ浦水系
18 2004 小野俊郎 霞ヶ浦水系
19 2005 宮崎友輔 霞ヶ浦水系
20 2006 河辺裕和 (3) 霞ヶ浦水系
21 2007 橋本卓哉 霞ヶ浦水系
22 2008 赤羽修弥 霞ヶ浦水系
23 2009 赤羽修弥 (2) 霞ヶ浦水系
24 2010 赤羽修弥 (3) 霞ヶ浦水系
25 2011 吉田秀雄 (2) 利根川
26 2012 小森嗣彦 利根川
27 2013 小野俊郎 (2) 霞ヶ浦水系
28 2014 青木大介 霞ヶ浦水系
29 2015 青木大介 (2) 霞ヶ浦水系
30 2016 北 大祐 霞ヶ浦水系
31 2017 北 大祐 (2) 霞ヶ浦水系
32 2018 小森嗣彦 (2) 霞ヶ浦水系
33 2020 北 大祐 (3) 霞ヶ浦水系
34 2022 清水盛三 霞ヶ浦水系
35 2023 伊藤 巧 霞ヶ浦水系
36 2024 諸富真二 霞ヶ浦水系

2025-11-07 17:50:48